2017年11月

2017年11月16日

『ネオニコチノイド系農薬』について田中優さん解説

田中優さんのメルマガでネオニコチノイド系農薬について書かれています。
重要と思いますので紹介します。(自分の忘備録としても)

□◆◇◆◇■□■□◆◇◆◇■□■□

田中優の“持続する志”

優さんメルマガ 第621号
2017.11.8発行
http://www.mag2.com/m/0000251633.html

■□■□◆◇◆◇■□■□◆◇◆◇■□

今回は天然住宅コラムからのご紹介です。
『ネオニコチノイド系農薬』について3連投です!

Contents
…………………………………………………………………………………

1.『 ネオニコチノイド農薬ふたたび 』

2.『 松枯れにネオニコチノイド農薬散布は無意味だ 』

3.『 ネオニコチノイドが水を汚染する 』
…………………………………………………………………………………

□◆ 田中 優 より ◇■□■□

天然住宅コラム第82回

『 ネオニコチノイド農薬ふたたび 』
■ネオニコチノイド農薬

 ぼくは「ネオニコチノイド系農薬」の農薬を使うことに反対している。ネオニ
コチノイド農薬とは「新しい(ネオ)」「ニコチン系の物質」と結びつけたもの
で、殺虫性能が高いがヒトには影響が少ないとして、神経毒性が問題とされた
「有機リン系農薬」に代わる形で1990年頃から急速に使われ始めた殺虫剤農薬だ。
ところが残念ながらヒトに影響しないというのは誤りだったようで、ヒトの脳や
リンパ腺への悪影響が認められ始めた。

 これは神経伝達系である「ニコチン性アセチルコリン受容体」に作用し、シナ
プスをオンのままにしてしまうことで虫を狂わせて殺していた。それが高度に社
会的な暮らし方をするミツバチには悪影響があるとして、使用の注意書きにも書
かれているのだが、それが世界中のミツバチの暮らしに影響して、飛んだら最後、
巣に帰ることができなくさせてミツバチの巣の崩壊症候群(CCD)を起こさせて
いた。


■子供たちへの影響

 ところがその害は人体にも同じ「ニコチン性アセチルコリン受容体」があるた
めに作用した。岩波新書で「脳を守ろう」などの著書がある黒田洋一郎氏の調査
によると、※図のように人間にも作用する可能性がある。

※ http://tanakayu.blogspot.jp/2017/11/blog-post_8.html より
ネオニコチノイドによる脳発達障害のメカニズム
黒田洋一郎講演
「自閉症・ADHDなど発達障害の原因と有機リン系、ネオニコチノイド系など農薬の危険性」


 その実際の被害をレポートした報告もある。

 長野県千曲市の小学校で起こっている事態が「松本の松枯れを考える住民の会」
のFacebookページに紹介されている。

 数値で述べると27人の小学校の学年の中で、1人は長期入退院、10人が授業中に
外へ出てしまったりするADHD(注意欠如・多動性障害)状態、7人は教室にはいら
れるものの勉強が追いつかない状態で、通常通り授業を受けられる子が八人しか
いないという手記の内容だった。

 学校には補助教員もいるが間に合わず、校長・教頭もマンツーマンでケアに駆り
出されていた。8人の通常通りの授業が受けられる子たちが、授業に追いつけない
7人の面倒を見ながら授業を受けている状態だというのだ。

 この話はぼく自身が聞いた同じ長野県内の小学校の状態とそっくりだった。



■ネオニコチノイドの規制


 ネオニコチノイド系農薬はヨーロッパ、アメリカで禁止されつつあるのに対し、
日本では規制緩和が続いている。この農薬が家の木材の防カビ剤としても、防虫
シロアリ防除用にも使われているし、家具はもちろんペットのノミ取りやコバエ
取り、殺虫剤に使われている。

 『ミツバチが疾走している時代は良かった』と言わなければならない時代が来
るかもしれない。放置され続ける日本では、子どもが壊されつつあるように思え
るからだ。

−−*−−*−*−−*−−*−−*−−

第83回 
『 松枯れにネオニコチノイド農薬散布は無意味だ 』

■松枯れはマツクイムシのせい?

 前号で紹介した松本市の事例は、松枯れ対策にネオニコチノイドが空中散布され
るのに反対する市民の報告からの話だった。しかし松枯れは本当にマツノザイセン
チュウ、それを媒介するマツノマダラカミキリ(併せてマツクイムシと総称する)
のせいなのだろうか。そうなら殺虫剤に効果もあるが、調べてみるとそうでもない
のだ。

■菌類と共生するマツ

図「植物進化樹形」はこちらより
http://tennen.org/yu_column/matsukuimushi.html

 同じ針葉樹の中でもマツとスギでは大きく異なる点がある。

 マツは菌根菌と呼ばれるマツタケのような菌類と共生する。その菌が栄養を運ん
でくれるおかげで、火山灰地のような土すらない栄養のない土地にもマツは生える
ことができるのだ。その性質のおかげでマツは「パイオニアプラント」と呼ばれる。

 それに対してスギやヒノキ類は菌類と共生していないばかりか、菌根菌による他
の植物との情報ネットワークに参加していない。孤高の存在であり、なおかつ菌類
に侵されない殺菌能力を持っている。だから幹の中心から腐るような「ウロ」を作
らないのだ。

 ではマツのその後はどうなるだろうか。マツに共生する菌根菌は土地が肥沃にな
るとその場を他の菌類に譲る。滅びてしまうのだ。するとマツは急速に栄養を失っ
て病害に弱くなる。極相林と呼ばれる手つかずの深い森にマツが存在しないのはそ
のせいなのだ。

図 「菌根菌きのこ」 はこちらより
http://tennen.org/yu_column/matsukuimushi.html


■虫の役割

 虫にも存在価値がある。虫は弱った個体を再びやり直させるために、滅ぼすの
だ。実際、虫がつく個体は必ず弱った個体で、強い木や植物には虫がつかない。
昆虫を探したければ弱って樹液を流しているようなクヌギの木を探せばいい。
それは自然界の掟なのかもしれない。

 そのマツに農薬を撒いてもムダなのだ。確かにマツクイムシを退治できるかも
しれないがマツは蘇生しない。マツは栄養を運んでくれる菌根菌を失えば、存続
できないからだ。そんなマツにネオニコチノイド農薬を撒くのは無意味だ。ただ
被害を他の生命体にまで広げることにしかならない。森のためにもマツのために
もならず、ただ農薬メーカーの利益にしかならないのだ。

−−*−−*−*−−*−−*−−*−−

第84回 
『 ネオニコチノイドが水を汚染する 』

■ネオニコチノイド農薬の特徴

 このネオニコチノイド農薬にはいくつかの特徴がある。まず水溶性の農薬だと
いうことだ。野菜などの作物に届く農薬は、撒いた農薬の5%〜20%だけしかな
く、残りはすべて土地を汚染する。しかも農薬自体は水溶性であるために、水に
溶けて水を汚染する。群馬県では地域の名水と呼ばれる水源を汚染していた。
ゴルフ場や松枯れ対策にと撒かれたネオニコチノイドは、そこに水を汲みに来る
人々を汚染した。名水のはずが地域の人々を農薬中毒にしてしまったのだ。



■農薬中毒

 それ以外によく使われるのは果樹園やお茶畑、そして野菜の畑だ。その果樹を
食べることで農薬中毒になってしまった人たちも多い。群馬県前橋市の青山内科
小児科クリニックの青山先生のところには、たくさんの症例が蓄積している。

 その青山先生は「果物が食べたかったらバナナにしなさい、日本では作れない
から。お茶が飲みたかったらコービーにしなさい、日本では育たないから」と
言っていた。

 というのも日本は世界有数の農薬散布国だからだ。長らく単位面積当たりの散
布量で世界一だったが、中国がデータを公表し、韓国が農薬使用を激増させたた
めに世界第三位に落ちたが。

 自分で調べたかったらまず伸ばした腕の先で手を握り、そこからまっすぐすべ
ての指を伸ばしてみるといい。そのとき指先が震えていたら、ネオニコチノイド
中毒かその他の中毒症状だ。

図「ネオニコチノイド系農薬摂取チェック」
伸ばした腕の先で手を握り
まっすぐすべての指を伸ばしてみる
はこちらより http://tennen.org/yu_column/neonico.html


■ネオニコチノイド対策

 だから対策もまた難しくない。カナダや北米、国内の症例で、農薬を使ってい
ない食べ物に変えてから改善したという事例は多く紹介されている。青山先生の
ところでは、眼球が定まらなくなった子どもが眼科から紹介されてきた。彼女の
親は健康のためにと、果物とお茶を子どもにすすめていた。そこで青山先生は一
切の摂取を禁じた。

 その後彼女の眼球の不随意運動は消失し、それどころか学年で最も成績の悪か
った彼女の成績は、学年で一番になったという。私たちが信じている自分の手
足や頭脳は、自分のものではないかもしれない。ネオニコチノイドという農薬に
支配されているのかもしれないのだ。

 こうしたものも天然住宅では絶対に使わない。それどころか木を薬品処理する
こともなければ、石油製品も極限まで排除している。こうしたことを気にしなけ
ればならない時代なのだ。調べるべきことはデザインや価格ではないのだ。

図「農薬を多く摂取した子どものADHD発症率は2倍、米・カナダ研究」
はこちらよりhttp://tennen.org/yu_column/neonico.html

☆−−★ コラムは第88回まで更新中!☆--−★  

田中優が共同代表を務めます非営利の住宅会社「天然住宅」のHPでは、
田中優のコラム「住まいと森のコラム」を配信中です。

「森を守って健康で長持ちする」住宅や森の再生へのヒントなどが
たくさん入っています。

田中優の「住まいと森のコラム」 

■目次一覧 http://tennen.org/yu_column 

第1回 住むんだったら健康な家がいい
第2回 そのどこがエコなの?
第3回 天然住宅は高い?
第4回 蚊を殺すのにバツーカ砲
第5回 いい湯だな、バハン
第6回 次の世代に引き継げる林業に
第7回 本物「小林建工」さんとの出会い
第8回 日本ミツバチ
第9回 カビを寄せつけない技術
第10回 温泉三昧、雨ときどき間伐
第11回 小屋礼賛
第12回 皮むき間伐の弱点
第13回 低周波騒音問題
第14回 上下階騒音問題
第15回 住宅リテラシーを
第16回 湿気で溶けていく家
第17回 住宅貧乏
第18回 家を担保にした超・長期ローンを
第19回 「私、研究所の者です」
第20回 鉄筋にアースを
第21回 太陽パネルの電気自給は「冬場」が大事
第22回 男なら天然住宅!
第23回 男なら天然住宅!~男ならスペックにこだわれ~
第24回 男なら天然住宅〜男なら「マイホーム主義」〜
≪番外編≫寺田本家さんに共感する
第25回 暮らしに家を合わせる
第26回 次の世代の住まいとは
第27回 「未完」の家
第28回 カナダからの見学者
第29回 気候の事情、個人の事情
第30回 健康を害さない防音ルーム
第31回 電力自由化でどこを選べばいいの?
第32回 エアコンは「熱を電気でつくる」もの?
第33回 電力自由化を契機に節電を
第34回 24時間換気の不要な家
第35回 「カネを出せば買える家」じゃない
第36回 「普通の」家
第37回 自宅の完成見学会
第38回 森を守って、健康長持ち
第39回 ネオニコ住宅の恐怖
第40回 ベランダって必要なの?
第41回 年収300万円台からのマイホーム
第42回 抵当権を登記しない融資を
第43回 木造の「継ぎ手」が同じという不思議
第44回 伝統大工は頑固なままで
第45回 木材に要注意
第46回 楽しいハイブリッド林業
第47回 自立的なウマ、琴姫
第48回 この世にムダなものはない
第49回 天然住宅にすむのに必要なもの
第50回 ホタル族、ホタルに会う
第51回 ホームバイオガス
第52回 いびきが消えた
第53回 高知県興津海岸は、こうして残された
第54回 太陽温水器の裏ワザ
第55回 「Low-Eガラス」の功罪
第56回 不都合を楽しむ
第57回 音と暮らす生活
第58回 においの環境問題
第59回 空気が吸えない恐怖
第60回 秋雨前線と電気不足
第61回 家が変わると暮らしが変わる
天然住宅バンク出資のお願い
第62回 湘南発、未来へ
第63回 おカネに頼らず暮らす
第64回 虫対策、その後
第65回 おカネに依存しない暮らし、自営
第66回 おカネに依存しない仮想通貨
第67回 天然住宅はホコリが少ない?
第68回 住宅教育が必要だ
第69回 住宅費用のイニシャル、ランニング
第70回 無煙炭化器
第71回 偉いぞ、炊飯器
第72回 中国のシックハウス問題
第73回 のらぼう菜
第74回 孤独になる?自給生活
第75回 「自給住宅」と食べ物
第76回 ガーデンパーティー
第77回 「自給の家」の「たべるにわ」
第78回 「居ていい場所」というコミュニティー
第79回 我が家の庭でBBQ
第80回 自給の家と「たべるにわ」
第81回 連休は出かけちゃダメ?
第82回 ネオニコチノイド農薬ふたたび
第83回 松枯れにネオニコチノイド農薬散布は無意味だ
第84回 ネオニコチノイドが水を汚染する
第85回 不吉な虫、その名も「死番虫」
第86回 湿気のない腐らない家
第87回 阪神淡路大震災のあった土地は危険?
第88回 病気の話